일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

橘 外男의 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇(いきふどう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 198,400자 · 387화면

아오조라 문고

私には自分が国家の外交官であるという身の上すら、もはや考えることができなくなりました。襷をかけて、板の間を拭いている兄の弟には、髪を乱して鼻の欠け落ちた母の子には、もはやそんなことを考えることもできぬ、過ぎ去った昔の残骸に過ぎません。今の私には、夢想さえできぬ陽炎のような、この世の生活です。

そして、こんなことを申上げるのは、決して私の、感傷ではありません。こんな惨めな残酷しい、切迫詰まった運命に直面した人間に、なんの感傷なぞがあるものでしょうか。

先月の二十六日、延び延びになっていた着任の挨拶と同時に、辞表を出すために思い切って、東京へ行って来ました。夜行で昼過ぎ新橋へ着いて、その足で田村町の本省へ行って、局長に辞表を出して来ました。理由をいわず、ただ外交官がイヤになったと、それだけを申し立てましたから、局長から辞表の撤回を慫慂せられ、先輩から説諭され、しまいには次官のところまで連れて行かれて、慰留されました。

しかし、結局辞表を出して、午後の六時頃本省を出ました。また電車通りを新橋口まで、あのガード下の煉瓦道を、暮れの売り出しで賑わっている東京デパートの前から、駅構内へ出て来ました。