후리가나로 읽는 일본 고전
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
橘 外男의 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇(いきふどう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 198,400자 · 387화면
てっきり火事だと私は直観した。子供の時分から、火事と聞くと一応飛び出して検分してこぬことには、どうしても気の納まらぬ性分であった。いわんや、こんな知った人もない一小都邑! 風はないようであったが、旨く行って町中総舐めの大火にでもなってくれれば有難いぞと念じながら、私は丹前の上にしっかりと帯を締め直していると、眠っているとばかり思っていた君太郎が、重そうな丸髷の下から、パッチリと眸を開いた。これもさっきから表の騒がしさに眼が醒めていたらしい。
「火事だっていうと、こんなところへ来てまで飛び出すのねえ。方角も知らずにいて、迷子にでもなったらどうするの?」
と微笑んだが、
「そんな恰好をして、風邪でも引かないように気をつけて頂戴!」
と夜具の襟に頬を埋めて眩しそうに薄眼をしながら言った。
そのうちに、宿屋の者も起き出たらしい。ガラガラと大戸の開く音がしたが、途端に、
「あらあら、大変だ! 大変だ! どうしましょう、番頭さん! 早く来て下さいよう! 早くさあ!」
と、涙ぐんだ甲高い女の叫びがした。
私は、大急ぎで階段を駈け降りて、有合せの下駄を突っ掛けたが、一足躍り出した途端に思わず固唾を呑んで、釘付けになった。