후리가나로 읽는 일본 고전
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えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
永井 荷風의 江戸芸術論(えどげいじゅつろん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,130자 · 167화면
思ふにこれ当時の画工が鏡の面に人の顔の映りしさまを見せんとしたる新意匠なるべし。そはともあれ今日写楽の似顔絵を見るに雲母は人物背後の装飾として最も面白く感ぜらる。余は独仏の好事家が写楽を珍重するは単に好奇の念のみにはあらず、その布局その色彩及び顔面輪廓の描線等、油絵肖像画の新発展につきて多大の参考となるがためなるべしと思為せざるを得ず。写楽の似顔絵を熟視せよ。松本幸四郎が高麗格子の褞袍に鉢巻して片手の指先にぼんやりと煙管を支へさせたるが如き、錦絵の線と色とが如何によく日本人固有の容貌並に感情を描出せるか。余は日本人の皮膚の色とその朦朧たる顔面並にやや遅鈍なる輪廓は写楽の手法を以てするの外決して他にこれを現はすの方法なかるべしと信ずるものなり。写楽が女形の肖像は奇中の奇傑作中の傑作ならんか。岩井半四郎、松本米三郎の如き肖像を見れば余は直に劇場の楽屋において目のあたり男子の女子に扮したる容貌を連想す。濃く塗りたる白粉のために男にもあらず女にもあらぬ一種怪異なる感情は遺憾なく実写せられたり。この極端なる画風は俳優を理想的の美貌と定めたる伝来の感情に牴触する事甚しきがためこの稀有なる美術家をして遂に不評のために筆を捨つるのやむなきに至らしめき。