후리가나로 읽는 일본 고전
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えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
永井 荷風의 江戸芸術論(えどげいじゅつろん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,130자 · 167화면
一梃の夜駕籠頻と道をいそぎ行く傍に二匹の犬その足音にも驚かず疲れて眠れる姿は、土手下の閉ざせる人家の様子と共に夜もいたく深け渡りしのみか、雨持つ空に月の光もまた朧なる風情を想像せしめて余りあり。羽織に着流しの裾をかかげ、ぱつちに雪駄をはきし町人の二人連あり。その一人は頬冠りの結目を締め直しつつ他の一人は懐中に弥蔵をきめつつ廓をさしておのづと歩みも急し気なる、その向より駒下駄に褞袍の裾も長々と地に曳くばかり着流して、三尺を腰低く前にて結びたる遊び人らしき男一人、両手は打斬られし如く両袖を落して、少し仰向加減に大きく口を明きたるは、春の朧夜を我物顔に咽喉一杯の声張上げて投節歌ひ行くなるべし。
浮世絵師の伝記を調べたる人は国芳が極て伝法肌の江戸児たる事を知れり。この図の如きは寔によくその性情を示したる山水画にあらずや。吾人は寂寞閑雅なる広重の江戸名所において自ら質素の生活に甘じたる太平の一士人が悠々として狂歌俳諧の天地に遊びし風懐に接し、また北斎の支那趣味によりては江戸時代の老人の温和なる道徳的傾向を窺ひ得べしとすれば、国芳の風景よりしては女芸者を載せたる永代橋下の猪牙舟、鉄砲洲石垣の鯊釣、また隅田川鰻かきの図等いづれも前二家の有せざる江戸気質の他の一面を想像し得べし。