후리가나로 읽는 일본 고전
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면
たゞそれだけの間柄ですけれども、広島にいたはずの奥さんが生死不明だということも聞いていましたし、いつまでも頭からはなれない人でございました。わたくしは、まつたく無我夢中でその人のそばへ腰をおろし、――まあ、ほんとに、こんなところでお目にかゝるなんて、と、つくづくその顔をながめてしまいました。
奥さんはやつぱりどこを探してもいどころがわからず、近所の生き残つた人の話では、まずなくなつていることはたしかだとのことでございます。それですべてがわかりました。
そのひとは、それからたび/\店へくるようになり、お酒はすこし飲みすぎるくらいですけれども、どこか純真なところもあり、話がそれは/\上手で、今ではいゝお友達になりました。
わたくしは、女にも大事な気品というものを、奥さまからはじめて、そのものとして学んだような気がいたしますが、よく考えてみますと、奥さまの気品は、わたくしが今まで思つていたような教養や育ちからばかりくるのではなく、その裏に、と申しますよりむしろ、その根底に、自然であり得るという人間のほこりがあつてこそ、はじめて身についたものになるのだ、ということを発見いたしました。