후리가나로 읽는 일본 고전
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면
「これで助かりましたわ。でも、あなたはずつと起きていらつしやいますの?」
彼女がそうたずねる意味をどうとつたか、
「うん、わしはどつちでもいゝんだよ。こゝにいさえすれや任務はすむんだから……。あんた眠るなら、あつちの部屋に寝台があるからね。それとも、こつちにいたけれや、わしは向うへ行くで」
「あら、あたくしのことなんかおかまいなく、どうぞ……」
と、言いはしたが、それ以後ぷつつり黙りこんでストーブの前に立ちはだかつているこの四十男のボタンを外した詰えりの下に、うす汚れたメリヤスを着ていて、それがまた胸のあたりの毛深い膚をむき出しにするほど大きく裂けている、そういう風体を見れば見るほど、この自分などにこんな同情を示してくれることが、どこか不自然のように思われた。
いつまでたつても、相手は口をきこうとしない。こつちも、わざわざ話をしかける用事はなかつた。たゞ、こうして際限なく無言のまゝ向い合つていられるものではない。彼女はちよつとからだを斜にいすの背へもたせかけて、じつと眼をふさいでいた。
しばらくすると、男は、思い出したように部屋の中をあちこち歩き廻り、電燈を消してそのまゝ隣りの部屋へはいつて行つたと思うと、ドサリと寝ころぶ音がし、間もなく、いびきが聞えだした。