轻松读懂日语经典作品
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
「週刊朝日別冊陽春特別読物号」朝日新聞社、1958(昭和33)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,377 字 · 45 页
生れて五十日足らずで死んだから、顔だちも覚えていないのに、重吉の頭の中では良吉よりも大きく、はるかにおとなびているように思えた。
――生きていれば十五だ。
おつぎまでが年子だったのだ。重吉はもういちど部屋の中を眺めまわし、みんな昔のままだと思った。お直と世帯を持ったままだ、がらくたが二、三ふえただけで、ほかにはなにも変ってはいない。
――残ったのは子供たちだけか。
十五年の余も働きとおして来て、残ったのは四人の子供だけである。しかもその子供でさえ、満足には育てられなかったし、いまでは上の子二人にもう稼がせている。
――おめえはよかったな、和吉。
おまえは死んでよかった、と重吉は心の中で云った。生きていれば貧乏に追われ、骨身も固まらないうちから稼がなければならない。良吉をみろ、あいつはまだ十四だ。なりは大きいほうだが、足腰も細いし、まだほんの子供だ。
それが毎日ぼてふりをして稼いでいる、毎朝まっ暗なじぶんに起きて河岸へゆき、雨も雪もお構いなしに魚を売って歩く。いまに仕出し魚屋になるんだ、といばっているが、本当はまだ友達と遊びたいさかりなんだ。
――おまえは死んで運がよかったぜ。