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ふしぎなひと

ふしぎな人

江戸川 乱歩

「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页

青空文庫

たいへんちえがあるのだよ。そのちえで、いろいろふしぎなことをやってみせるので、まほうつかいのようにみえるだけなのさ」

たけしくんもきみ子ちゃんも、林さんとなかよしになっていました。

ある日のごご三じごろのことです。たけしくんときみ子ちゃんは、林さんのおうちのにわであそんでいました。たくさんの木にかこまれたひろいしばふにこしをおろして、林さんのおはなしをきいていたのです。

林さんはくろいふくをきて、大きなくろいネクタイをとんぼむすびにしていました。

ふちなしの四かくなめがねをかけ、ぴんとはねた口ひげと、三かくのあごひげがあります。いかにもせいようのまほうつかいみたいなかっこうです。

その林さんが、こんなことをいいだしました。

「きみたちに、おもしろいものをみせてあげようか。びっくりするようなものだよ。わたしは、むこうの木のしげみにかくれるからね。すると、あそこのしいの木のねもとから、小さいものがあらわれるのだ。よくみているんだよ」

そういって、林さんは、しいの木のむこうのしげみの中へはいっていきました。

たけしくんと、きみ子ちゃんは、むねをわくわくさせながら、そのしいの木の下を、じっとみつめていました。