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ふしぎなひと

ふしぎな人

江戸川 乱歩

「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页

青空文庫

二十めんそうのさいご

だが、もう、どうすることもできまい。ははは……。いつまでも、そこにころがっているがいい。それじゃあ、あばよ」

といって、にげ出そうとしたときです。

「二十めんそうくん、しばらくだったなあ」

という声が聞こえ、ドアのところに、明智たんていのにこにこ顔があらわれました。

二十めんそうは、「あっ」といって、はんたいがわのドアにかけつけると、そのドアが外から開いて、そこに、ピストルをかまえた小林くんが立っていました。

「はははは……。二十めんそうくん。さすがのきみも、もう、どうすることもできないね」

二十めんそうは、ぱっと身をかがめると、ゆかに落ちていたポケット小ぞうのピストルをひろい取って、明智たんていの足に、ねらいをさだめました。

二十めんそうのさいご

「おれは、人ごろしはきらいなんだ。だから、きみをころしはしない。足をうつんだ。そして、にげ出すんだ」

そういったかと思うと、いきなり、ピストルの引き金を引きました。――カチッと、音がしました。しかし、たまはとび出しません。また、引き金を引きました。けれど、またカチッと音がするばかりです。

「あははは……。そのピストルには、たまがはいっていないんだよ。