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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
動くよろい
そうです。ろうじんは、マンホールのふたを開いて、その中へおりていこうとしているのです。
「あの中へかくれるつもりなのかな。だが、おれがつけていることは気がつかないんだから、なにも、かくれることはない。すると、……あっ、そうかもしれないぞっ」
ポケット小ぞうは、そこに気がつきました。
二十めんそうは、とんでもないことを考え出すやつですから、マンホールとそっくりのあなをこしらえて、そこから自分の住みかへ出入りしているのかもしれません。
マンホールだと思えば、だれもあやしまないのですから、こんなによいひみつの出入口はありません。
ろうじんは、マンホールにはいると、中から、鉄のふたをしめてしまいました。
ポケット小ぞうは、急いでそこへ行って、鉄のふたに手をかけてみましたが、子どもの力で動かせるものではありません。
「よし、すぐ、みんなに、このことを知らせよう。そして、明智先生や小林さんと、電話でそうだんするんだ」
そういって、ポケット小ぞうは、大急ぎで、もと来た方へ、かけだすのでした。
動くよろい
ポケット小ぞうの考えたとおり、そのマンホールは、二十めんそうの住みかの、ひみつのマンホールでした。