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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
マンホールの中は、コンクリートのかべにかこまれていましたが、そのかべに、ちょっと見たのではわからない、ひみつのドアがあって、それを開くと、ずっと、よこあながつづいていて、あるせいようかんのえんの下へ出られるようになっていました。そこのゆか板が、上げぶたになっていて、それをあけて上に出ると、りっぱなへやがあるのです。
ろうじんにへんそうした二十めんそうは、そのへやへ上がっていきました。
「うふふふふ。あぶないところだった。だが、おれは、まほう使いだからな。とらに化け、ろうじんに化け、それから、だれも知らないマンホールの入口だ。あいつら、おれがどこかへきえてしまったかと、おどろいているだろうて。うふふふふ……」
二十めんそうは、そんなひとり言をいいながら、広いへやの中を、ぐるっと見回しました。
それは、へんなへやでした。広いせいよう風のへやのかべには、いろいろな形の刀やてっぽうなどがならべてあり、その下には、むかしのせいようのよろいや、日本のよろい、中国のよろいなどが、まるで、人が立っているように、ずらっとかざってありました。びじゅつ品の好きな二十めんそうは、古い刀やよろいなどを、このへやにかざって、よろこんでいるのでしょう。