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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
かれは、ドアをあけて、つぎのへやにはいりました。そこは、しんしつらしく、大きなベッドがおいてありました。
そこで、ろうじんのふくをぬぎ、顔のつけひげやかつらを取り、せんめん台で顔をあらい、ようふくだんすからパジャマを出して着かえてから、よびりんをおすのでした。
すると、ドアにノックの音がして、ひとりのぶかがはいってきました。
「かしら、うまくいきましたか」
「いや、しっぱいした。ちんぴらにじゃまをされた。そして、みんなに追っかけられたので、いろんなへんそうをして、うまくにげてきたのだ。だが、あのほうせきは、きっと手に入れてみせるよ。……ああ、くたびれた。今夜は、もう、ねることにしよう」
二十めんそうは、そういって、ぶかを下がらせてから、そこのつくえの上においてあったウイスキーをグラスについで、ぐっとのみほすと、そのままベッドにもぐりこんでしまいました。
さて、そのよく朝のことです。八時ごろ、二十めんそうは、目をさましてベッドから出ると、ドアを開いて、よろいのかざってあるへやにはいりました。毎朝、そのへやを見るのが楽しみなのです。
「どうだ、りっぱなものじゃないか。