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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
よろいが歩きだすからには、中に、人間がはいっているとしか考えられないからです。
「はははは……。だれだと思うね。この声に聞きおぼえはないかね」
よろいの中から、人間の声が聞こえてきました。
「あっ、それじゃあ、おまえは……」
二十めんそうは、その声に、聞きおぼえがあったのです。かれは、はっとしたように、顔色をかえました。
「はははは、わかったかね。そのとおり、きみのてきの明智小五郎だよ」
「どうして、ここがわかったのだ」
二十めんそうは、ふしぎそうに、聞き返しました。
「きみは気づかなかったが、ポケット小ぞうが、きみのあとをつけて、マンホールの入口を発見したんだよ。ぼくは、そのマンホールから、はいってきたのさ。その道には、いくつも、かぎのかかったドアや上げぶたがあったけれども、ぼくは、ばんのうかぎを持っているので、どんなドアでも開くことができるのさ。
そして、このよろいの中へかくれていたというわけだよ」
「うむっ」
二十めんそうは、さもくやしそうにうなったかと思うと、いきなり、かべにかけてあった長いけんを取って、明智たんていに向かってきました。
しかたがないので、明智たんていのほうも、よろいのこしにつるしていた、長いけんをぬきはなって、二十めんそうのけんをふせぎました。