轻松读懂日语经典作品
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みずぐるま
みずぐるま
山本 周五郎
「面白倶楽部」大日本雄辯會講談社、1954(昭和29)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,077 字 · 54 页
深江はもう年も十九歳になっていたし、良縁なので父も母も乗り気だったが、いやなものを無理にというのではなかった。
――伊原さまにはお断わり下さい。
自殺する前の日に、深江は母にそう云ったという。とすれば縁談のためではないだろうが、ほかには思い当ることは(少なくとも和次郎には)なにもなかったのである。彼がひそかにみるところでは、母はなにか知っているようであった。それは、姉が死んだあとのまいりかたも尋常ではなかったし、死躰をみつけたときに殆んど狂乱して、
――なぜ母さんに相談してくれなかったのか。
と、かきくどいていた。
そんなことはそのとき限りで、あとは病気になるほどまいってしまい、深江という名を聞いても顔色が変るくらいであった。彼は慥かに母がなにか知っていると思い、母が知っているとすれば、父も知っているのではないかと想像した。それで、いちどは訊いてみたいと思っているのだが、いざとなると、つい気が挫けてしまう。理由がわかったところで、死んだものが生き返るわけでもなし、古傷に触ることもあるまい、と思い直してしまうのであった。
秋八月になって、若尾は磯野の道場へ入門した。