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ヨブきこうえん
ヨブ記講演
内村 鑑三
丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页
第十九講 ヨブの見神(三)
第三十八章の研究
◯一人の人を真に知らんためには、その人の作物を見るを最上の道とする。もし文士ならば彼の著作を見ればそこにその人の真の姿が見える。肉眼を以て彼を見る事は、かえって彼を誤解する道となる。少くとも彼を正解する道ではない。神を見ることは決して肉眼を以て彼を見ることではない。真に彼を見んには、彼の所有物たる宇宙とその中の万物を見るべきである。その中に彼の真の姿が潜んでいる。
第十九講 ヨブの見神(三)
第三十八章の研究
◯地の事、海を制する事、黎明の事を述べてそこに神の力を見るは三十八章一節―十五節の骨子であって、前回の講演の主題であった。今日は十六節以下について語らんとする。十六節より三十八節までは自然界の現象を幾つも掲げて、これを起す神智の不可測を示し、これが根源を知らざる人智の狭小を示すのである。各語について精細に説明すべき時を有たぬ故、その中の二、三について語ろう。
◯十六節には「汝海の泉源に至りしことありや、淵の底を歩みしことありや」とある。海水の湧起する源と、深き水底は人の達し得ざる所である。そこにおいて永遠に隠されたる秘密を探り得ざる人智の弱さを見よとの意である。