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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

四 古代の神仙思想

古代中国人の端倪すべからざる夢幻的な神仙思想が、この丹道の基調をなしている。これを現代の言葉、というよりも現代の意識をもって説くことは、甚だ困難である。

露伴先生の解説の一節を挙げよう。「神識気質未だ分れざるところを体認心証して、而して復神識気質の日に用ひられて日に生死流転する境地に還つて来る」「人の生命の帰趨、直ちにそれに続く起処、終つて復始まるところを体現し得るのが還丹の道である」。こういう解説は、文字の上でこれを理解することは出来ない。味読百遍にして感得するより外に方法がない。理解には説明が必要である。説明には広い意味での論理の形式が必ずはいってくる。生死一如というような問題に対しては、論理は全く無力である。その心境は、分析や論理などとは相補性をなすところの認識の形式、即ち悟入とか感得とかいう形で、これを証得するより外に道がない。

四 古代の神仙思想

丹道の真髄をうかがうためには、魏伯陽以前の中国古代思想、即ち春秋から後漢にかけて、七百年に及ぶ長い年代の古代神仙思想を瞥見する必要がある。この期間は、我が国からいえば、もちろん有史以前に当る。青銅器及び鉄器が大陸からはいってきたのは、後漢の前期と推定されているので、以下述べる中国の古代思想というものは、我が国の縄紋式及び弥生式文化の時代の話である。