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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
昨今は教会に籍があるという丈けの関係だが、それでも基督教に対して悪感情は持っていない。
占部牧師の一言は一年以上に亙る私の煩悶を解決した。私は直ぐに実行したのである。翌日体操の時間の始まる前、私は同級の両三名と運動場で遊んでいた。そこへ国分が三人の子分を馬に仕立てゝ乗って来た。運動会で人馬競走をやってからこれが流行っていた。弱い奴が馬になる。国分は私の側を通りさま、私の帽子を払い落した。
「何をする?」
と私は大声一喝、追い縋って、持っていた唖鈴で国分の横びんたを撲った。国分は馬から飛び下りた。直ぐにかゝって来る積りで身構えをしていたら、然うでない。屈んで頭を押えた。血が出たのである。
「覚えていろ!」
「覚えているとも」
「帰りに八幡様で待っていろ!」
「待っているとも」
と敵味方言葉を交えた。国分はそのまゝ井戸端へ行って頭を冷した。直ぐ体操に出たところを見ると、大した怪我ではなかった。
模範生が暴力を用いたのだから、皆案外のようだった。
「国分が悪いんだよ」
と私に同情したものもあった。私が模範生として嫌われていた以上に、国分は暴れものとして憎がられていた。