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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
(かえでの顔を見る)どんなに会いたかったでしょう。
かえで (唯円に寄り添う)私も会いたくて、あいたくて。(涙ぐむ)
両人ちょっと沈黙。
唯円 ここにすわりましょう。(草をしいてすわる)
かえで (唯円と並んですわる)人に見られはしなくって。
唯円 めったに人は通りません。通ったっていいではありませんか。悪い事をするのではなし。
かえで でもきまりが悪いわ。
唯円 ずいぶん久しぶりのような気がします。この前松の家の裏で別れてから何日目でしょう。
かえで 半月ぶりですわ。
唯円 その半月の長かったこと。私はその間あなたの事ばかり思い続けていました。
かえで 私もあなたの事はつかのまも忘れた事はありません。恋しくて、すぐにも飛んで行きたい事が幾度あったか知れません。でもどうする事もできないのですもの。私もどかしくてたまりませんでしたわ。
唯円 私もお寺でお経など読んでいても、ぼんやりしてあなたの事ばかり考えているのです。私は晩のお勤めを済ませたあとで、だれもいない静かな庭を、あなたの事を思いながら歩くのがいちばんたのしい時なのです。
かえで あなたなどはそのような時があるからようございますわ。