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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

その裸の腕へ、雪が降っても、すぐ、消えて行くのが、彼等の自慢の第一であった。

「箱根泊りですかい、今から――」

不平そうな顔をして、雲助がこういうのに対して

「頼む――」

と、云って、多分の酒手を出す外になかった。雲助は支度をしながら、七人の姿を、ちらちら眺めていた。

七人は、軽装で、二人まで袴をつけていなかった。木綿の袷一枚に、兵児帯をしめて、二尺七八寸の刀を差していた。

「おかしな野郎だの」

駕屋は、仲間へ囁いた。

七梃の駕が、小田原を離れると共に、駕の中の人々が

「山へ入ってから、それとも――この辺でもよいでないか」

とか

「その曲りっ角は――」

とか、話し合つた。だが、最初の駕にいる一人が

「山の中で、十分の足場のところでないと――」

と、対手にしなかった。湯本から、登りになった。石段道へかかった。駕屋は、沈黙して、息杖を、こつこつ音立てながら、駕を横にして、ゆるゆる登りかけた。

一町か、一町半で、休茶屋があった。駕屋は、きっと、そこで暫く休んだ。少しも、疲れていないようであったが、十分に休んでからでないと、行かなかった。

右も、左も杉林で、その下は雑草の深々としたところへかかった。