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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

牧の便りも、もう来るだろう。お嬢さん達ゃ、その金さえありゃあ、立てるんだろう」

「判るかえ」

「それんくらいのこと判らねえで、何うする」

「そうかえ」

庄吉は、笑いながら、薄い涙を、眼瞼へ出していた。

「お前が死ぬのが早いか、俺が早いか、江戸も、黒船のために、煙になるって、評判じゃあねえか」

「そうだってのう、じゃあ、もらって行くぜ」

「達者で、行きな」

「牧の野郎の、便りを頼むぜ」

「いいとも――」

庄吉が、歩きかけると

「道中で、ひょんな気を起しなさんな」

と、吉が、又注意した。

「心配しなさんな」

「お嬢さんにもな」

と、吉が、笑った。

「戯談、云うねえ」

庄吉が、振向いて、笑うと同時に

「あばよ」

と、吉松が云って、足早に、歩いて行ってしまった。庄吉は、その後姿へ、一寸、振向いて

(有難う)

と、心の中で叫んだ。そして、懐中の金の重さを計ってみて

(七八十両はある)

と、思うと同時に、小走りに、走り出した。

(路銀は十分だ。深雪さんっ――着物を売るにゃあ当らねえ。若い娘が、着物を売るなんて――他人のことでも、庄吉は、見ておれない性なんだ)

庄吉は、笑いながら、走った。

寄席の、軒下に