轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

「報知新聞夕刊」1930(昭和5)9月30日~1931(昭和6)3月12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,554 字 · 381 页

青空文庫

それとも、この井戸に、もっと別の用事があるのかしら。

一寸法師は、やっとのことで、五枚の重い敷石をとりのけた。敷石の下には、井戸の口に、太い丸太が二本横たえてある。彼はそれをも、とり除いた。怪物が敷石を動かし始めた頃から、むせ返る様な、一種異様の臭気が、部屋中にただよい出した。胸がムカムカする、甘酸ぱい様な腐敗の匂いだ。

恒川氏は、すぐ様、それが何の匂いであるかを悟って、非常な驚きにうたれた。

「アア、何ということだ。若しかすると、俺は大失策を演じたのではあるまいか。こんな所に古井戸のあることを気づかず、その中に何があるかも、まるで知らなかったというのは、鬼刑事の名に対しても、取り返しのつかぬ大失態ではないかしら」

と思うと、もうじっとしてはいられぬ。彼は明智の腕をつかんで呶鳴り出した。

「君、あの穴の中に、一体何があるのです。この匂いは何です。君はそれを知っているのでしょう。サア、いってくれ給え、あれは一体何です」

「シッ…………」

明智は落ちつき払って、唇に指を当た。

「お芝居の順序を乱してはいけません。もうすこし我慢して下さい。三十分以内には、すべての秘密が、すっかり暴露するのです」