轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

「報知新聞夕刊」1930(昭和5)9月30日~1931(昭和6)3月12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 190,554 字 · 381 页

青空文庫

さっきの怪物が、咄嗟の間に、風体を変えて、通行人に化けて、何気なく逃去るのではないかと思ったのだ。

「エ、何か御用ですか」

その男は、びっくりしたように振返る。警部は無遠慮に、男の顔を覗き込んだが、無論、怪物とは似ても似つかぬ、整った容貌の青年だ。身体の格好から、服装から、何一つ似通った所はない。第一、その青年が怪物でない証拠には、左手右足共に完全で、義手も義足もつけていないのだ。

いやいや、もっと確な証拠がある。というのは、恒川氏が念の為に、その男の姓名を尋ねると、彼は実に意外な答えをしたのである。

「僕ですか。僕は三谷房夫というものです」

それを聞くと、追手に加わっていた、麹町署の巡査が、びっくりして声をかけた。

「アア、三谷さんでしたか。あなたはこの辺にお住いなんですか」

「エエ、ついこの先の青山アパートにいるんです」

「この人なら、畑柳家の知合の人ですよ、ホラ、先だって、上野公園の事件のとき、畑柳夫人に化けて、子供を取り戻しに行った、あの三谷さんです」

巡査は青年を見覚ていて、一同に紹介した。恒川氏も三谷の名は聞いていた。

「今日も夕方まで畑柳にいて、さっき帰って食事と入浴をすませたばかりです。