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あいこくしんわたしはこうおもう

和人は舟を食う

知里 真志保

知里真志保『和人は舟を食う』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『愛国心』私はこう思う、あの世の入口、生きているコタンの銅像、おば金成マツのこと、金成マツとユーカラ、学問ある蛙の話、言語と文化史、洞爺湖の伝説、日本語とアイヌ語の関係、図書館通い、アイヌ語学、アイヌ語のおもしろさ、アイヌ宗教成立の史的背景、ホッキ巻。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,567 字 · 144 页

青空文庫

十 山の神の遙拝及び狩の縄張り

そのような山や丘の中腹、又は麓には、必ずと云っていい位に、神秘な洞窟の存在が伝えられ、そこからあの世に行った人の話が伝説に語られていることなども、そのような山の上の遺跡の或るものが古代の墳墓であっただろうという想像を裏書するように思うのであります。北海道の先史時代に於ける山上の遺跡としては、(1)祭場、(2)墓場(ストーンサークルなど)、(3)いわゆる“チャシ”(chasi 山砦)、などが考えられ、それらが今はいずれも“チャシ・コッ”(chasi-kot 砦趾)の名で呼ばれているようであります。

十 山の神の遙拝及び狩の縄張り

以上述べてきたように、古くアイヌは山上に祭場をもち、そこで種々の祭を行ったのであります。今“ポリ・シリ”(親の・山)とか、“カムイ・シリ”(神・山)とか“カムイ・ヌプリ”(神・山)とか、“カムイ・エロキ”(神・そこに住む所)とか“カムイ・イワキ”(神・そこに住む所)とか云っているのは、古く頂上にそういう祭場のあった山で、それが後にアイヌのいう“チノミシリ”になるのであります。“チ・ノミ・シリ”(我ら・祭る・山)というのは、それぞれの家系に於て祭の際に必ずその山の神の名を呼んで酒を捧げて遙拝する山のことで、そのような遙拝を“パセ・オンカミ”(重要な礼拝)というのであります。