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あいこくしんわたしはこうおもう
和人は舟を食う
知里 真志保
知里真志保『和人は舟を食う』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『愛国心』私はこう思う、あの世の入口、生きているコタンの銅像、おば金成マツのこと、金成マツとユーカラ、学問ある蛙の話、言語と文化史、洞爺湖の伝説、日本語とアイヌ語の関係、図書館通い、アイヌ語学、アイヌ語のおもしろさ、アイヌ宗教成立の史的背景、ホッキ巻。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,567 字 · 144 页
洞爺湖の伝説
虻田の村の酋長の妻が或る時突然病んで、どんなに加持祈祷しても験がなく、病は重くなるばかりだった。その頃豊浦の村に洞爺湖の主を憑神にもつ有名な巫女が居たのでそれに巫術をさせたら、やがて神がかりの状態になって次のように謡い出した――
サアエエ サアオオ
俺の支配する湖のまん中に
俺はぽっかり浮上がった
寒いぞよ 寒いぞよ
湖の上へ 湖の下へ
あたまの白波を従えて
俺は泳いでいる
寒いぞよ 寒いぞよ
火を焚け 火を焚け
――こう云って託宣が始まった。ここで湖と云っているのは洞爺湖のことで、寒いぞよ寒いぞよと繰り返しているのはそこの主が竜蛇だからである。竜蛇は大蛇に翅の生えた姿に考えられ、蛇の通有性として寒さに弱く、それで火を焚けなどと云ったのである。その時の託宣はこうだった。アイヌの俗信では畑に種を播く時シギの卵に浸して播くと稔りがいいというので、酋長夫人はわざわざシギの卵を探して来てそれに粟の種を浸して播いたのが、計らずも悪い兎の睾丸だった。それで悪い兎は子を取り返すために酋長夫人の心臓の紐をかじりかじりしているのが病気の原因である。それを救うためには、長持の中にしまってある小袖や玉や耳輪を賠償に出せばいい、というのであった。