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よるのこうず

夜の構図

織田 作之助

「婦人画報」1946(昭和21)年5月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 页

青空文庫

第十一章

火葬人夫のように冷酷だった。視線の炎は半分は火葬人夫が点じた火から出ているのかも知れない。

「ええ、じゃ、正午に伺いますわ」

という冴子の言葉は、冴子の生涯の坂の上に横たわった不幸の小石を、自ら蹴ったようなものかも知れない。小石は転がり出すと、果てしがない。

そして、そのことを一番よく知っているのは、むろん信吉だった。

予定通り、冴子を再びホテルへ誘うことに成功して、冴子の楽屋を出た信吉の顔には、はや憂愁の表情が翳っていた。

第十一章

円い玉子も切り様で四角いこと。

再び伊都子が信吉の部屋へ来ること。

涙が苦手であること。

その前に煙草を吸うこと。

予定通り、冴子を再びホテルへ誘うことに成功して、冴子の楽屋を出た信吉の顔には、はや憂愁の表情が翳っていた。

――と、前章の終りで作者は書いたが、なぜ信吉の顔には、憂愁の表情が翳っていたのだろう。

既にして、信吉という人物は、少しは魅力のある人物だが、要するに、

「私たちはあなたの人格を疑いますわ」

という女性の一般的輿論の攻撃の的になるような人物であることは、明白である。人格的に落第点だ。社会から抹殺してもいい人物だ。