轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よるのこうず
夜の構図
織田 作之助
「婦人画報」1946(昭和21)年5月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 页
第十五章
しかし、その背中には憎悪や恐怖の表情はなかった。
「どうしたの……?」
信吉は背中に手を掛けて、くるりとふり向かせた。
「照れているの……?」
かすかに冴子はうなずいたようだった。
「莫迦だなア」
ちょっと笑って、信吉はいきなり口を寄せると、冴子はがくんと信吉の胸へ倒れて来た。
信吉は冴子の手に、瞬間的にだが、力がはいったのを、背中に感じた。
それが何だか悲しかった。
第十五章
接吻の長さについて!
エスプリが長さを決定すること。
単純にいえば『女たらし』の一語につきることを、複雑にいう意義の有無。
――口づけは続いていた。章は改まったが、彼は抱擁したままの状態を改めなかった。長い接吻であった。
さすがに信吉も、
「長い! 長すぎる!」
と、思ったのか、息が苦しくなったのか冴子の口から口をはなした。
冴子も照れていたが、信吉はそれ以上に照れていた。なぜ照れたのか。
信吉にはジュリアン・ソレル的要素があった。しかし、彼はジュリアンではなかったし、またジュリアンにはなれなかった。ジュリアンのような高貴な精神も情熱もなかった。ジュリアンのような第一級の人物ではない。