轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
「朝日新聞 夕刊」1962(昭和37)年4月1日~10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 页
によくトップ記事を書いてやったものさ」
「うん、人は可愛がっておくべきものだ」と寒藤先生は大きな口髭を捻りながら、感慨ふかそうに頷いて続けた、「次官なんぞでくすぶっていたあの男が、いまでは浜内ライガー首相、一国の総理大臣にのしあがったんだからな」
たしかに似ている、どうしていままで気がつかなかったのか自分でも合点がいかない、と富川さんが初めて口をきいた。
「やめてくれ、せいしゅく」と寒藤先生が叫んだ、「諸君はそう云ってくれるが、僕はうれしくない、なんだ浜内ごときが」
そして拳をあげて、いさましく食卓を打った。島さんがとめようとしたけれどもまにあわず、テーブル・クロスであるところの敷布の下の仕掛は分解し、やかましい物音とともに酒壜や茶碗や丼鉢などが転げ落ち、張板の片方がはねあがり、寒藤先生は力あまって前のめりになった。
つづめていえば、それが宴の終りであった。富川さんは自分が貸した茶碗を捜し集め、三個とも無事であったことを慥かめるのにいそがしかったし、寒藤先生はモーニングの衿のところを、鼠色になったハンカチーフで熱心にこすっている。小田滝三は雑巾を取りに勝手へ走り、岡田少年とたんば老人は立ちあがったまま、あっけにとられている。