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ぞくほうしこう

差別の根源を考える

喜田 貞吉

喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页

青空文庫

すなわち公民はことごとく地主であり、農民であることとなったのです。そしてそれが国法上にいわゆる良民なるものなのです。

何故に農業があらゆる職業のうちでも尊いものであり、農民のみが公民として、社会に高い地位を占めるようになったのでありましょうか。

社会の文化なお低く、社会組織の単純な古代にあっては、人生にとって何よりもまず第一に重きをなすものは、食物でありました。そしてこれに次ぐものは衣服でありました。住居はよしや粗末な掘立小屋、あるいは蒲鉾小屋のようなものでありましても、それで雨露が凌げさえすればまず足るとしまして、第一に食物がなければ生きて行くことができません。そしてそれに次ぐものは衣服で、この二つは人生にもっとも必要なものでありました。したがって自らこれを生産するもののみが、自主独立の生活を営みうる訳で、その他のものは、みなこれに頼って生活の資を求めねばならなかったのです。これいわゆる「農は生民の本」なるものです。ここにおいてか食物衣服の生産者と、その供給を受ける者との間に、自然身分の相違が生じて参ります。そしてその食物衣服の生産者とは、自己の田を耕し、自己の畑に麻や桑を植えて、自ら農耕紡織の業に従事する農民のみであります。