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おもいだすことなど

思い出す事など

夏目 漱石

经历生死关头后,作者用细腻笔触回忆那段病中时光,那些细微的光影与人事,读来既心酸又温暖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,003 字 · 113 页

青空文庫

二十三

――これらのあらゆる場合に、わが変化に応じて、白い着物の動かない事はけっしてなかった。時にはわが動作を予期して、向うから動くと思われる場合もあった。時には手も足も頭も動かさないのに、眠りが尽きてふと眼を開けさえすれば、白い着物はすぐ顔の傍へ来た。余には白い着物を着ている女の心持が少しも分らなかった。けれども白い着物を着ている女は余の心を善く悟った。そうして影の形に随うごとくに変化した。響の物に応ずるごとくに働らいた。黒い布の目から洩れる薄暗い光の下に、真白な着物を着た女が、わが肉体の先を越して、ひそひそと、しかも規則正しく、わが心のままに動くのは恐ろしいものであった。

余はこの気味の悪い心持を抱いて、眼を開けると共に、ぼんやり眸に映る室の天井を眺めた。そうして黒い布で包んだ電気灯の珠と、その黒い布の織目から洩れてくる光に照らされた白い着物を着た女を見た。見たか見ないうちに白い着物が動いて余に近づいて来た。

秋風鳴万木。 山雨撼高楼。

病骨稜如剣。 一灯青欲愁。

二十三

余は好意の干乾びた社会に存在する自分をはなはだぎごちなく感じた。

人が自分に対して相応の義務を尽くしてくれるのは無論ありがたい。