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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
彼奴の手品の種が分りましたよ。アア、なんということだ。今頃になって、やっとそこへ気が附くなんて……」
川手氏と小池助手は、急いでベッドの向側に廻って見た。
「どこですか」
「ここだ、ここだ。ベッドをもっと壁から離してくれ給え。ここに仕掛けがあるんだ」
二人はいわれるままに、ベッドを押して、壁際から離したが、すると、その下から仰向きに横たわっている博士の上半身が現われ、博士はそのまま起き上って、今まで壁に接していたベッドの側面を指し示した。
「ここに隠し蓋があるんです。ホラネ、これを開けば中は広い箱のようになっています」
シーツをめくり上げて、ベッドの側面を強く圧すと、それは巧妙な隠し戸になって、幅一尺、長さ一間程の、細長い口が開いた。つまり、ベッドのクッションの部分を、上部の三分の一程の、薄い部分にとどめて、その下部は全体が一つの頑丈な箱のように作られているのだ。無論人間が潜んでいるためだ。その広さは二人の人間を隠すに十分である。
「巧く造りやがったな。外から見たんでは、普通のベッドとちっとも違やしない」
小池助手が感心したように叫んだ。
よく見れば、普通のベッドよりは、いくらか厚味があるようであったが、しかし、その側面には複雑な襞のある毛織物で、巧みに錯覚を起させるようなカムフラージュが施され、一寸見たのでは