轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
地底の殺人
いつか寝室で聞いたのとは違って、板壁のすぐ向うからのように近々と響いて来る。アア、そうだったのか、山の魑魅魍魎はこんなところに隠れて、深夜の会合を催していたのか。
川手氏は声する方の壁に近づいて、どこかに秘密の出入口でもないかと、探し求めた。すると、その板壁の丁度目の高さの辺に、大きな節穴が一つ、サア覗いて下さいと云わぬばかりに開いているのが目についた。彼は中腰になってそこを覗いたが、一目覗くと、もう身動きも出来なかった。彼はそこに、全く想像もしなかった不思議なものを見たのである。
地底の殺人
アア、これが正気の沙汰であろうか。この世に何か思いもかけぬ異変が生じたのではあるまいか。その地下室の穴蔵の板壁の向側には、夢のような一つの世界があったのである。
そこには、現代ばなれのした、ひどく古めかしい装飾の、立派な日本座敷があって、その床の間の柱に、夫婦と覚しき男女が、後手に縛りつけられていた。女の方は猿轡まではめられている。
男は三十四五歳の、髪の毛を房々と分けた好男子、女は二十五六歳であろうか、友禅の長襦袢の襟もしどけなく、古風な丸髷の鬢のほつれ艶めかしい美女。