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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页

青空文庫

直衛は彼女の顔を見まもった、「――それも留守のあいだにか」

「お留守のあいだにです」

「ほかにも縁談があった筈じゃないか」

「あなたが落胆なさってはお気の毒だと思って」と云って佳奈はあやすように笑った、「これで安心なすったでしょ」

宗兵衛が睨みつけ、佳奈は知らん顔で二人に茶をすすめると、気取った身ごなしで出ていった。直衛が見送っていると、佳奈は襖のところでちらっと舌を出した。

「すっかりこけが落ちたな」と直衛は呟いた、「これで芯から元のかな公だ」

「こけが落ちたとはどういうことだ」

「磯村の妻というこけさ、おれは元の佳奈になるのを待っていたんだ」

「あいつはいつもかな公だったよ、男に生れてくればよかったって、父は死ぬまで嘆いていたがね、――ときに」と宗兵衛は言葉を改めた、「このあいだ精士館で、若い連中と立会って五人もやっつけたそうだな」

「一人は二度だから六人だ」

「どうしてそんなことをしたんだ、負けてやらないまでも勝負のつけようはあったろう、かれらはこんどの裁きに不満をもっている、ことによると一と騒ぎおこるかもしれないぞ」

「それで条件が揃うわけさ」と直衛は微笑した、「城代はじめ重職諸公、家中の若い連中から商人たち、そしておそらく、城下の住民の多くが十二日の裁決に注目するだろう、あけてびっくりかもしれないが、裁きの効果