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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

「よし、やろう。……じゃあね、僕、みんなの帽子と上着を取ってくらあ。正服正帽でなくちゃ、南洋の土人にたいしても幅がきかないからね」

前田保君は学校でも評判のチャメ公でした。こんな命がけの場合にも、日頃のたしなみを忘れないところ、さすがはチャメのター公だけのことはあります。

保君はほかの二人が「見つかると大へんだから」ととめるのも聞かないで、栗鼠のように闇の中を走って行きましたが、五分もたたない中に、三つの帽子と、三枚の上着と、それから何だか大きな白い袋をかかえて帰って来ました。

「その袋はなに?」

「いいんだよ。なんでもないんだよ」

保君は、なぜかその袋を隠すようにしています。

そこで、三人が手ばやく上着を着て、さて、ボートへの綱渡をしようと身がまえた時、とつぜん、うしろに物音がして、人の息をしているようなけはいを感じました。

ギョッとして、振向きますと、ナアンだ、それは人間ではなくて、一匹の犬でした。海賊船に飼われているぶちのポインターで、この一月の間に、三少年にひどくなついてしまっていたのです。

それを見て、チャメの保君が何か思いついたらしく、ほかの二人の腕をつかんでいいました。