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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
三人はもう物をいう力もありませんでした。ただじっと泣き出しそうな顔を見合わせているばかりです。長い長い間、まるで死んででもしまったように、そうしてじっとしていましたが、やがて一郎君が何かを思いついて、元気に叫びました。
「でも、まだ助からないときまったわけじゃないよ。どこかの汽船が通りかかりさえすればいいんだ。そして、僕達を見つけてくれさえすればいいんだ」
「だって、いつになったら、汽船に出くわすかわかりやしないよ。それに、ここが汽船の航路からずっと遠くだったらどうするの?」
考え深い哲雄君はなかなか安心しません。
「そんなこと言ったって仕方がないじゃないか。僕達は運を天にまかせて、汽船が通るまでじっと待っているほかに、どうすることも出来やしないんだ」
一郎君が怒ったような声で言いかえしました。
「そりゃそうだけど、でも、おなかがすくし喉がかわくよ。汽船が来るまでに僕達はうえ死してしまうかも知れないぜ」
哲雄君のいうところも尤もです。そういえば、三人とも実はもう腹がペコペコになっているのです。犬も何かたべたいのか、さいぜんからクンクン鼻をならしつづけているではありませんか。