轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本の怪談』。同一底本的分册已合并为一书。收入:義人の姿、宝蔵の短刀、村の怪談、猫の踊、幽霊の自筆、狐の手帳、貧乏神物語、怪僧、庭の怪、八人みさきの話、一緒に歩く亡霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,030 字 · 115 页

青空文庫

それから三日ばかりしてのことであった。昼の疲れにぐっすり眠っていた彼女は、夢心地に何人かが己の額をばたばたとたたくように思ったので眼を開けて見た。前夜踊っていた赤毛の猫が枕頭へ坐って、二本の前肢を揮りあげ揮りあげ己の額を打っているところであった。それには流石の老女もびっくりした。彼女は声をあげながら飛び起きた。と、猫はそれに恐れたように飛んで出て往った。

二度目の奇怪を見た老女は、何人にも話すまいと思っていた考えを変えて、その翌朝、起きたばかりの主人備後の処へ往って話した。

「そうか、面白いことをやりおるな」

備後はこう云って微笑した。

「それでは、あの猫を、どういたしましょう」

「まあ、捨てて置け、好いだろう」

備後の性質は老女もよく知っていた。彼女はもう何も云わなかった。

備後は猟が好きであった。彼は暇さえあれば小銃を肩にして出かけて往った。秋の末になってまた少しの暇ができたので、今度は北山の方へ往くと云って、己(じぶん)の室(へや)で鉛を熔かしてそれで十匁弾を鋳ていた。火鉢に掛けた小さな鋳鍋の中にどろどろになった鉛を、粘土で造えた型へ鋳込んでいた。