轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本の怪談』。同一底本的分册已合并为一书。收入:義人の姿、宝蔵の短刀、村の怪談、猫の踊、幽霊の自筆、狐の手帳、貧乏神物語、怪僧、庭の怪、八人みさきの話、一緒に歩く亡霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,030 字 · 115 页

青空文庫

幽霊の自筆

幽霊の自筆

田中貢太郎

一ぱい張った二十三反帆に北東の風を受けて船は西へ西へ走っていた。初夏の曇った晩であった。暗いたらたらとした海の上には風波の波頭が船の左右にあたって、海蛇のように幾条かの銀鼠の光を走らした。

艫の舵柄の傍では、年老った船頭が一杯機嫌で胡座(あぐら)をかき、大きな煙管(キセル)で煙草を喫(の)みながら舵柄を見て、二人の壮(わか)い舵手(かこ)に冗談口を利いていた。煙草の火の光が暗い中に螢火のように光っていた。

船頭の話は数年前、船頭が品川へ遊びに往った時の話であった。

「そこでさ、その皿鉢じゃ、金襴手の模様と云い、どうしても、和蘭(オランダ)か南京(ナンキン)じゃ、そうなると、女なんかそっち除けじゃ、この皿鉢さえ一枚持ち出せば、今晩の散財は浮いてしまう、と云う、悪いことを考えだしたのじゃ、で、大引けまで、ちびり、ちびりと飲んだあげく、もう鴇母(やりて)も壮佼(わかいしゅ)も座敷のしまつをせずに、そのまま打っちゃらかしておいてさっさと引きさがって往くのを見すますと、しめたと床へ入り、直ぐ寝たふりをして見せると、女は室(へや)を出て往っちまう、で、便所へ往くふりをして、そっと広間へ往って、その皿鉢の中の残り肴を平げてしまい、中を鼻紙で美麗(きれい)に拭いて、出口の障子際へ持ち出し、それから