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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

とはよほど違ったものと認められなくてはならぬ。ただ唯一の共通点は、竹取の翁が超自然的な女子にある関係を持ったという最も外部の輪郭である。

竹取の翁が竹の中から美しい女子を得たという考えは、右の考察によって、『万葉』以後のものと推定することができる。契冲は竹から童子の生まれる話が『大宝広博楼閣経』と『後漢書西南夷伝』とに存するのを指摘して、その影響を推測しているが、たといその影響があったとしても、それは古来の竹取の翁の物語に結びつき、そうして平安朝の詩人の空想のるつぼに鎔かされたものであったろう。『楼閣経』や『後漢書』の描く世界は、竹取のそれとは恐ろしく異なったものである。

かぐや姫の出現はいかにも超自然的である。翁が「本光る竹」の中から見いだした時には、「三寸ばかりなる人」であった。翁は手のうちに入れて家に帰り、籠に入れて養った。あたかも小鳥を取り扱うようである。この「三寸の人」は三月ほどの間にすくすくと成長して、「よきほどなる人」になり、髪上げや裳着せなどをする。形清らかなること世にたぐいなく、この女のために家の内は光が満ちている。やがてかぐや姫と命名し、男女きらわず呼び集めて盛んな祝賀会をやる。