轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こよみ
暦
壺井 栄
「新潮」1940(昭和15)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,332 字 · 112 页
「出しときよっ」
「はいっ」
両方でかけ声のような叫び合いになったので二人はげらげら笑いだした。
今年はクニ子たちの祖母の十七年忌と、父親の三年忌に当るので、東京だとか神戸だとか広島などにちりぢりに暮している姉たちに来てもらい、先祖や亡くなった兄姉の菩提をも弔おうという末っ子二人の思いつきなのである。いわば、今まではお世話になりましたが、自分たちにもこんな世間並みなこともできるようになりました、という大人ぶった気持と、父親の葬式以来会わない姉たちに会いたいための甘えた計画でもあった。
クニ子は袴の後ろ紐を前でぐっと下げて結びながら腕時計を見、きゅうに慌てだした。
「実枝、ほらほら、弁当、弁当」
早口にそういって自分は足袋跣足で片足つま先立って下駄を出している。実枝も立ち上っていっしょに慌て、ほれ、ほれ、と台所の上り框に置いてあった弁当包みを渡した。傘をおおげさにふり、朴歯の日和下駄を踏石にかたかた鳴らして風を切るように駆けだすクニ子の後姿を見送り、実枝はふう、と声に出して息をついた。縁に腰をかけ、先刻とはあべこべに、
「やれやれ、せわしないこっちゃ、ほんまに」