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ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう
本州横断 癇癪徒歩旅行
押川 春浪
「冐險世界 第四卷第拾貳號」博文館、1911(明治44)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,749 字 · 45 页
衣水子、木川子など、いずれも勇気勃々、雨が降ろうが火が降ろうが、そんな事には委細頓着ない。
やがて午前十時になったので、切符を購めて出札口に差し掛かると、
「ドッコイ、お待ちなさい。これは水戸行の汽車ではありません。水戸行は午前十一時五十五分です」と来た。
「オヤオヤ、オヤオヤ。誰だ誰だ、水戸行を、午前十時だと言ったのは――」と、一同開いた口をヒン曲げて詮議に及んだが、誰も責任者は出て来ない。元来呑気な連中の事とて、発車時間表もよくは調べず、誰言うとなく十時に極めておったのだ、とにかく約二時間待たねばならぬ。ボンヤリしているのも智恵がないから、不忍の池の溢れた水中をジャブジャブ漕いで、納涼博覧会などを見物し、折から号外号外の声消魂しく、今にも東都全市街水中に葬られるかのように人を嚇す号外を見ながら、午前十一時五十五分、今度は首尾よく上野出発。この時から常陸山中の大子駅に至るまでの間の事は、既に日曜画報にも簡単に書いたので、日曜画報を見た諸君には、多少重複する点のある事は御勘弁を願いたい。
汽車の旅行は平々凡々、未醒子ははや居眠りを始める。
「コラコラ、今から居眠りをするようでは駄目じゃッ」