轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

01 第一部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 页

青空文庫

甲斐は「さあ横におなり」と云った。

「起きていてはよくない、寝ていて話しをしよう」

「では失礼してやすみましょうね」と宇乃が云った。

虎之助は横になり、眼をあげて甲斐を見ながら「おじさま帰るのか」と訊いた。いや帰りはしない、もう少し話しをしよう、と甲斐は云った。坊は熊を知っているか。知っているか、と虎之助は姉を見た。

「知っているでしょう」と宇乃が云った、「いつか御伽草子で見たことがあるわ」

「うん、見た、島渡りだ」

「そうかしら」

「島渡りだ、坊、知ってるよ」虎之助はいきごんで云った。

それでは鹿はどうだ、と甲斐が訊いた。鹿も知っている、草子の絵には鹿もいた、熊も鹿もいたし、兎もいたか、と虎之助は姉を見て云った。宇乃は微笑しながら頷き、弟の掛け夜具の端を直した。

「おじさんのお国には、そういうけものがみんないる」と甲斐は云った、「熊も大きいのがいるし、仔熊も、みごとな角のある鹿も、兎もいる」

「熊の仔もか」

「熊の仔もだ」と甲斐は頷いた。

お母さんといっしょに歩いて来る、そう云おうとして甲斐は口をつぐみ、それから「坊もいつかいってみよう」と云った。おじさんのお国には、山もあるし川もある。