轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

次郎にとっては、全く意外な質問だった。彼はあきれたように父の顔を見ながら、

「どうしてお父さんはそんなことを仰しゃるんです。」

「人間というものは、功名心のためなら自殺さえしかねないものだからね。」

次郎には、ますますわけがわからなかった。俊亮は微笑しながら、

「むろん私は、おまえの血書を不純だと断定しているわけではない。しかし、血書なんか書く人の中には、血書の目的に興奮しているよりか、血書そのものに興奮している人が、よくあるものだよ。つまり血書を書くことに変な誇りを感じるんだね。そういう人にかぎって、自分の血書を何か神聖なもののように考え、血書さえ書けば世間は何でもきいてくれると思いたがるものだ。おまえに全然そんな気持がないと言いきれるかね。」

次郎は考えこんだ。しかし、どんなに考えてみても、自分が功名心に支配されて血書を書いたような気はしなかった。

「それだけは僕を信じて下すってもいいと思います。」

彼はきっぱりとそう答えた。

俊亮は、次郎の答えに満足なのか不満なのか、不得要領な顔をして、

「じゃあ、まあ、それはそれでいいとして、おまえの希望どおりにならなかった時はどうする?」