轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ししゃのけんり

死者の権利

浜尾 四郎

「週刊朝日 秋季特別号」1929(昭和4)年9月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,854 字 · 61 页

青空文庫

十三

すると九月の末ごろ、突然須山家から自動車の注文がありました。私は生憎その日、ほかの客を乗せて他処に行っていたのですが、帰って見ると未だ乗せて行った車が戻って来ていません。

ようやく夜に入って帰った運転手に聞いてみますと、春一はその日K県のKまで遠乗りをなし、向うでは料理やに上ってひどく酔っ払い、帰りに運転手が彼を車に入れるのに、相当に骨が折れたそうです。

私はしまった、と思いました。絶好の機会を失ったわけです。然しまだまだ機会はありそうな気がしていたのでした。

十三

十月二十四日の夜、突然電話が烈しく鳴り出しました。いそいで受話器をとりますと、須山からの電話です。しかも春一本人が出ていて、翌日ドライヴするから一台朝早くよこしてくれとの注文であります。私は胸をとどろかしながら、序に行先を聞いて見ますとH山麓のM温泉だとの事、私は即座に「ありがとうございます」といって電話を切りました。

実際、あの時位有難かったことはありません。機会は来ました。しかもH山のM温泉といえばあの道は私はよく知っているのです。ただM温泉までの道は余り犯罪には向きませんが、行ったら行ったで何とかして彼を上の湖畔までさそい出せるでしょう。