轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
浜松の異変
と、こう云ったのは関口勘之丞で、そう云うと兵庫の顔を見た。
「さよう」
と兵庫は頷いた。
「それらの方々へは拙者これより、その宿元までひそかに参り、申し伝える所存でござる」
浜松の異変
この同じ夜のことであった。
この同じ浜松城下の、脇本陣の柊屋に、萩丸と菊女との一行が、幾部屋かを占領して泊まっていた。
「妹ご様は精神のご病気」
こういうことに宿の者へは、それとなく云って予防して置いた。
というのは萩丸は女装した男、で時々男となって、男の言葉で宿の女中などへ、話しかけることがあろうもしれないと、それを案じたからであった。裏庭に面して作られてある、別棟になっている離れ座敷へ、萩丸と菊女とは居を占めていた。
萩丸は全く痴呆状態にあった。
虫部屋の恐怖が十八歳の、貴族の御曹司をそうさせたので、その萩丸の痴呆状態は、菊女達義党の人々にとっては、しかし勿怪の幸いであった。
痴呆状態でなかろうものなら、こうなかなか容易のことでは、秘密に旅などへ出られるものではない。
駕籠の中から往来の者へ、
「余は、紀州の萩丸じゃ、悪漢どもに誘拐されて行く、助けてくれ!」
と叫ぶことも出来、叫べば人が怪しんで、一応調べることとなり、それからそれと手続きされ、紀州館へ帰されよう。