轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页

青空文庫

裏門も、別建ての離れ座敷も、火に包まれて燃え上がっている。

「危険でござるぞ! 後へ後へ! ……表より外へ! 表より外へ!」

が、振り返って眺むれば、表も火焔に包まれているのか、大屋根を越して火の束が、黒煙りと共に立ちのぼっている。

「行けない行けない、表へも行けない!」

「塀を乗りこせ! 側面の塀を!」

裏庭を囲繞した土塀の一方、南に向いたそこだけは、まだ火に襲われてはいなかった。

警護の武士たちは右内を引き上げ、一斉に外へ飛び下りた。

とたんに、

「ワッ」

と一人の武士が、もんどり打って地に仆れた。

「どうした!」

と一同寄ろうとした時、

「ワッ」

またも一人が仆れた。

瞬間地上に腹這って、石かのように見せていた、黒装束に黒覆面の、五人の武士が立ち上がった。

「曲者!」

「素破こそ!」

「おのれら何者!」

二人の味方を討ってとられ、かなり気おくれはしていたけれど、警護の武士はそう叫び、一斉に刀を引っこ抜いた。

と、一人の頭領らしい、黒装束の武士が進み出たが、

「我らは明暦義党の者、同志の一人五十嵐右内氏を、当方へ頂戴いたしたく、うち揃って推参仕ってござる。旅舎へ火かけたもわれわれでござる! ……五十嵐氏、おいでなされ!」