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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
(それに第一魚屋の財宝が、そんな島などに尚今日、はたして本当に隠してあるかどうか?)
これがあぶなっかしく思われたし、
(よしんば隠してあったところで、我々二人の力をもって、はたして、それが発見出来るか、どうか?)
これもあぶなっかしく思われた。
(そんなことより現在の俺は、早く人形を手に入れて、宥免状の安全を期したい)
こうしきりに思われるのであった。
二人はまたもしばらく黙り、犬帰村の方へ進んで行った。
この間も林から聞こえて来る、二頭の馬の蹄の音が、何んとなく二人には気にかかった。
やがて犬帰村が見えるようになった。
林が絶えて耕地となった。
と二人の人間が、二頭の馬に跨がって、林の中からその耕地へ、まっしぐらに走り出で、村の方へ向かって駈け行く姿が、梶子と民弥との眼に見えた。
距離がはなれているために、何者であるかはわからなかったが、様子が何んとなく変であった。
一人は縛られてでもいるようであった。
梶子と民弥は顔を見合わせた。
「ちとこれは変でござるな」
「そうねえ、ちょっと、変ですねえ」
「悪漢が女をかどわかし……」
「縛られているの、女かしら?」