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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
(よし、こいつらをつけて行き、この洞窟内で討ち取ってやろう)
三十郎は決心した。
で、刀を抜き持って、二人の後をひそかにつけた。
梶子も民弥もそんなこととは知らず、話しながら先へ進んで行った。
この二人はこの洞窟の、玄関ともいうべき北口へ行って、そこの口の辺に屯ろして、ガヤガヤ騒いでいる人間の様子を、しばらくの間うかがったのであったが、ほとんど見当がつかなかった。そこで断念して岩山を巡って、別の入り口を目付け出した。と、東側の入り口が目付かった。そこで松明の用意をし、そこから洞内へはいったのである。
そんなことには抜け目のない、女隠密の梶子の手には、石筆の用意もしてあったので、岩壁へ記号を次々につけて、二人は角々を曲がって進んだ。
「聞いたより大変な枝道ですことねえ」
「碁盤の目とでも云いましょうか、こう枝道がありましては、しるしをつけて行かない限り、出口へはなかなか出られませんな」
「魚屋の財宝のあり場所なども、これでは容易に目付かりそうもない」
「あるにいたしても心をゆっくり持ち、この島に相当滞在し、幾度となく洞内へはいり、充分探索いたしませいでは、発見出来そうもございません」