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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
、策の得たるものと存ぜられ申す!」
そう云うと半九郎は肱を張り、軒昂とした意気で一座を見た。
「それよかろう!」
と応じたものがあった。
それは有竹松太郎であった。
松太郎の現在の身分といえば、大道香具師の独楽廻しであったが、本来は佐竹家の家臣であり、主家滅亡して以来、深く徳川に怨みを持つに至った。自然、したがって慶安義挙の復活、徳川幕府倒壊のことを、目的としているこの義党に、加盟するようになったのである。
「たかが十八歳の小冠者萩丸、あのような者を今日まで、持てあましおりましたのが我らの不覚、いよいよ用に立たぬとなら、首斬って血祭りにした方がよろしい。拙者首斬りの役負いましょう。行って叩っ斬って参りましょう」
こう云うと松太郎は側の刀を掴み、ノッソリとばかり立ち上がった。
「しばらくお待ちくださいませ」
この時菊女が声をかけた。
一同は期せずして菊女の方を見た。
諸同志の言葉をずっとそれまで、聞き澄ましていた彼女であったが、この時はじめて云い出したのであった。
「萩丸様を捕えましたは、最初から殺そうためではなく、萩丸様に筆をとらせ、紀州において捕えられましたところの、我々義党の同志の体を、至急獄屋から放すよう、頼宣卿への宥免状を、認めさせるためと存じまする」