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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页

青空文庫

、女がお守りしてお送りするが至当……妾、持参いたしましょうよ」

「さあ……そいつは……どうであろうかな……」

「わたくしをご信用あそばさぬそうな」

「とんでもない話、そうではないが」

「ではなぜでございますか?」

「なぜという訳も別にないが。……わしが伊豆守殿よりお預かりした品を……」

「その伊豆守様は梶子の身にとり、申してみますればご主人様のようなもの。家来がご主人様のご進物を。……何んの理不尽でござりましょうぞ」

(どうしたものかな?)

と姉小路卿は思った。

しかしかえって考えようによっては、好都合のようにも思われた。

(民弥にしてからがこわれやすい品物、人形などをたずさえて、長い道中を京都まで行くこと、迷惑であるに相違ない。破損でもしたら責任問題、伊豆守殿に申し訳ない。梶子という女は伊豆守殿とは、特別の関係にある女だ。この女が品物を送って行って、よし途中で間違いがあっても、何んとかうまくとりさばくであろう。……それにこの女のいうとおり、人形――雛などというような品物は、男手にかけるより女手にかけて、優しくあつかった方がいいらしい)

「梶子殿、これはもっとも」