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わたしのりれきしょ
私の履歴書
井上 貞治郎
――放浪の末、段ボールを思いつく
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,380 字 · 69 页
もっとも機械といっても、波型をきざんだチクワロール二本を、左右二本の木製の支柱にわたしただけのもので、ロールについたハンドルを回しながら、原紙のボール紙をロールにかませると、しわが寄ったボール紙が出てくる仕組みになっている。
ところがやってみればなかなかうまくいかない。まず紙のしわ――つまり段が左右不ぞろいで、出てくる紙が扇形になってしまう。これはロールの左右にかかる力を均等にすれば解決するのだが、これには台座にバネを置いたり、分銅をつるしたり苦心した。
一方紙についての苦労も多かった。段をつけても風に当ると伸びてしまうのである。始めたのは夏だったが、こんなふうに苦労ばかり続けて二ヵ月たった。
そして秋の気配も迫ったある日の昼前『できた!』見事に段がそろった製品ができ上がったのである。私は飛び上がって喜んだ。うっかりすると『こりゃこりゃ』と踊り出しそうだった。こんなに見事な製品を人に見せるのが惜しいと思ったほどである。おげんさんと私は、三合で四銭の「やなぎかげ」を茶わんにつぎ、ひえた焼芋を七輪であたため、それをさかなに祝杯をあげた。『できた、できたよォ――』