轻松读懂日语经典作品
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わらうあくま
笑う悪魔
野村 胡堂
「ロック」筑波書林、1948(昭和23)年12月~1949(昭和24)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,687 字 · 55 页
「入る前、扉の鍵が掛って居たのですね」
「え、奈々子さんが衣嚢から鍵を出して開けました」
「その鍵は――」
「抜かずに、そのまま扉に差込んであったようです」
「外側からですね」
「――――」
美保子はうなずきました。さすがに少し疲れた様子です。
「もう宜いでしょう、あんまり話させると、又出血しますからね」
兄の春樹は気が気でない様子で、先刻から椅子に座ったり立上ったり、切りに気を揉んで居ります。
「いや、飛んだお邪魔しました、お大事に」
花房一郎も諦めた様子で、こんな事で切上げて廊下に出ました。
其処には新聞記者が十二三人、花房一郎と千種十次郎を取囲んで、質問の矢を八方から浴せかけます。
「奈々子さんはどうなったのです」
「傷いた美保子さんの容態はどうです」
「少し発表して下さい」
「写真を撮っても構わないでしょうな」
そう言う記者達の顔には、熱心さが溢れますが、花房一郎は、
「美保子さんは思いの外元気だ。生命にかかわるような事は無いと医者は言うが、まだ何んにも纏まったことはわかって居ないのだ」
巧みに鋒鋩を避けて、事件のあった部屋に入るのです。
「千種君、君はいろんな事を知ってる筈だ、同業の誼で、少し漏らし給えよ」